不器用なカノジョ。





「なんだよ、いきなり」


「別にいきなりじゃない。

俺はずっと思ってた」


そう言った健の顔は真剣そのもので。

何?コイツ、なんでこんなマジな顔してんの?


「お前、なんで告白しねーの?」


「なんで、って告白なんて軽々しくできるもんじゃねーじゃん。

だから、しない。」


「ウソ、だろ」


スパイクを磨く手を止め健は俺を睨む。



「お前、ビビってんだろ。

俺、昨日ちゃんと言ったぞ?


千尋にやり直そう、って言ったぞ。

なのにお前、なんなんだよ。


何ビビって怖じ気づいてんだよ」


ずいぶんと勝手なこと、言ってくれるじゃねーか。

ったく、お前、どこまでも腹が立つな。

普段はいいやつなのにひろのことになると、無性にお前にムカつく。



「告白って張り合うもんじゃねーからさ。

だからお前がひろになんて言おうがそれは勝手じゃん。


それにさ、悪いかよ?

ビビって、怖じ気づいて、悪いかよ?


誰だって怖いだろ。

今、友達って関係築けてて。

それを壊すことになるかもしれない『スキ』って思い伝えるの、

怖いじゃん。


お前だってそう思うだろ?」