「はい、じゃあこの話、終わり」


「えー、なんで?」


「だって関係ないじゃない」


関係ない?

何が?どう?


「健と私が付き合ってたのは過去の話。

でも私が今いるのは『今』よ。


過去は関係ない。

そうでしょ?」


ひろの目は相変わらず真っ直ぐで。



「じゃあ最後に1つだけ質問」


「最後、だからね」


ひろがそう言ったのを確認して俺は言う。



「健に頼っちゃうくらい、ひろはその頃、辛かったの?」


俯くひろ。

でもすぐに顔をあげて俺を見た。



「そうね。すごく、辛かった」



なあ、ひろ。

その頃もし、隣に俺がいたら。


そしたら…俺たちの関係は今より少しは近くなっていたのかな。


もし、そうなら。

俺、健が憎いよ。


ひろが辛かったときに。

ひろが苦しかったときに。


隣にいられたアイツが…





俺は、憎い。