不器用なカノジョ。





「お待たせー」


そう言いながら『あの場所』…図書室に入る。



「ううん、全然待ってないよー」

でも、そこにいたのは響ちゃん1人だけ。



「あれ?ひろは?」


「なんかね、ちょっとごめん、って言ってどっか行っちゃった。

ホント、身勝手だよねー」


困ったように眉を下げて苦笑する響ちゃん。



「…まあ、来るでしょ、そのうち」


ひろのことだし。

ここにいればそのうち、必ず来る。



俺は図書室のベランダからグラウンドを眺める。


慎太郎と響ちゃんは何を話しているのか楽しそうな笑い声が聞こえてくる。



ひろ。

来るなら早く来てくれ。


この疎外感、ハンパないから。