クラスの片づけは一通り終わり、どこかで聞いたことのある音楽がスピーカーから流れだす。
どうやら後夜祭の開始合図らしい。
各々好きなことをしていたクラスのヤツらは連れだってグラウンドへ行く。
それもそうだろう。
なんせ、後夜祭メインイベントのキャンプファイヤーがあるからな。
「よし、行くか」
慎太郎にそう言われ、グラウンドに向かうヤツらと反対方向へ俺たちは歩きだす。
約束した『あの場所』とは説明するまでもなく、『あの場所』だ。
「おーい、お前ら、どこ行くんだ?」
約束した場所へ向かう俺たちを呼び止める純の声。
「秘密」
と、だけ答えてまた足を進める。
「そっち、グラウンドと真逆だぞ?」
「分かってるよ。
何ヵ月ここの生徒やってると思ってんだ」
俺たちの目的はキャンプファイヤーじゃないからな。
「で、お前らはまた2人で行動するワケ?」
呑気な純の横に不機嫌な健がいる。
「まあな。
でも、見とけよ、2人とも!
俺ら、ナンパしてカワイイ女の子ゲットすっから!」
そんな純を俺と慎太郎はフンッと鼻で笑い、
「「せいぜい頑張りな」」
と、なぜかハモりながら言った。