響ちゃんは俺の言葉を聞いて表情を和らげた。
「あ、ホントだ。
あたしも、変わってるね。」
「そうだよ、かなりの変わり者だ。
あんだけさっきひろに睨まれてたのに全然気にしてないし」
普通、友達に睨まれたら、イヤな顔の1つくらい見せるだろ?
でも響ちゃんはそんな顔、1ミリだって見せなかった。
「当たり前じゃん。
だって千尋ってそういう人だもん。
そういうの分かった上で千尋と付き合ってるんだもん。
睨まれるくらい、あたしは気にならない。
っていうか、千尋に睨まれてあたし、嬉しかったんだ」
「え?響ちゃん、M?」
「そうじゃないよ!勘違いしないで!」
ちょっと怒ったような顔した響ちゃんは、すぐに柔らかい表情に戻る。
「だってね?千尋は、関心がない人には睨んだり、言い返したりとか絶対にしないの。
でもあたしは、睨まれた。
それって千尋に関心持たれてる、ってことでしょ?
あたし、俊輔くんに負けないくらい、千尋のこと好きだからさ。
だから睨まれて嬉しかったんだ」
やっぱり響ちゃんは変わってる。
だけど、そんな変わり者の響ちゃんの言うことが俺にはすごくよく分かる。
ひろのこと、任せられる、そう思った。


