不器用なカノジョ。





「俊輔くん、変わってるね」


「え?変わってる?」


響ちゃんは真っ直ぐ前を見たまま言う。



「変わってるよ。


だってさ、千尋って外見はすっごいいいじゃない?

だから千尋に目を奪われる男は数知れず。


だけど、いざ中身を知ったら冷たいし、言い方キツいし、だいたいみんな、ひろのこと避けるようになるでしょ?

なのに、俊輔くんは違う。

保育園から一緒で多分、千尋の家族並みに千尋のこと知ってて。

それでいて、千尋のこと、好きだ、って。


変わってるよ、俊輔くんは。」


「そうか。

確かにそう見えるかもしれない。


でも、違うんだよ」


ひろの言い方は確かにキツい。

それに冷たいとも思う。


だけど、違うんだ。

ひろはそれだけじゃない。



「ひろは素直じゃないし、意地っ張りだし、勝ち気だと思う。

だけど、本当はすっげえ、優しいヤツだと思う。


具体的に何かされた、とかそういうワケじゃないけど。

でも、ひろの言い方とか態度とか、それだけが真実じゃないんだよ。


俺、付き合い長いからさ、分かるんだ。

それに、響ちゃん、人のこと言えないよ?


その『変わってる』ひろと響ちゃんは友達なんだから」