「さて、どこ行く?」


「…行かない」


え?ひろさん、今、なんて?



「千尋、人ごみキライだからどこも行きたくないんだって。

勝手だよねー、ホント」

響ちゃんはチラッと横目でひろを見ながら苦笑いで言う。


「そうだぞ、ひろ。

お前は勝手だ」


便乗してちょっと言ってみる。

そうすると案の定、鋭い視線が俺に突き刺さった。

響ちゃんにはなんのお咎めなしなのに俺の扱いったら…まあ、ヒドイ。



「まあ、いいんじゃね?

1日は長いんだし、ここでゆっくりしてよーぜ」


慎太郎のヤツ…お前は響ちゃんと一緒にいられればそれでいいだけだろーが。



「とりあえず、2人とも座ったら?」


響ちゃんにそう言われ、俺たちは2人の前に座る。

もちろん、ポジションは響ちゃんの前が慎太郎。

ひろの前が俺。