「コイツ、美帆。
俺のカノジョ」
ケッ!
なんだ、俺のカノジョ、って。
ムカつくセリフだな、それ!
「で、こっちが俊輔と純。
2人ともバカだからまともに相手しなくていいからな」
「バカとは何事だ!
お前にだけは絶対言われなくない!」
なんて純の反撃はもちろん、スルー。
哀れだな、純。
そして美帆ちゃんは慎太郎のほうに向き直すと言った。
「ねぇ、抜けられない?
ちょっとだけでいいんだけど…」
学祭が終わるまであと約1時間半。
彼女の気持ちも分からないことはない。
「行ってこいよ、慎太郎。
健には俺らから言っとくからさ、な?純」
「え…ああ、まあ」
さっきスルーされたからか純の機嫌は少し悪いようだ。
「……いや、いいよ。
まだこんなに並んでる。
俺だけがいい思いするワケにはいかないよ。
…ごめんな、美帆。」
「…ううん、いいの。
じゃあ、頑張ってね」
美帆ちゃんは微笑むと手を振って去って行った。
どうしたんだ?慎太郎のヤツ。
せっかく学祭デートさせてやろうと思ったのに。