「…ひーろ」


図書室のドアを開けた。



「…何?」

振り向くことなくひろが言う。



「いやあさ、いると思ったんだよね、ここに」


「で、それがどうかした?」


まったく、冷たいんだから。

つーか、冷たすぎ。



「ひろ、叫んだでしょ?」


「なんのこと?」


とぼけちゃって。

可愛いんだから、まったく。



「俺…さ。

すごく助かったよ、あの言葉で」


「え?あの言葉で?」


「うん、助かった」


「なんで?バカ俊輔、って言っただけじゃない」


ひろの言葉を聞いて俺はふっと小さく笑う。



「あれ?ちゃんと分かってんじゃん」


「…う、うるいさっ!」


ひろは俺を睨んで顔を逸らした。

あらら、珍しくひろが動揺してるよ。