不器用なカノジョ。






結局、俊足の純はホームに返ってきて1点。

でも次がつながらず、あえなく交代。


それでも今の1点は大きかった。

たとえ、相手のミスのおかげでも運も実力のうち、っていうからな。



守備に着く前に主審に選手の交代を告げる。


キャッチャー(俺)がピッチャー

ライトがキャッチャー

ピッチャー(千葉)がライト


マウンドに上がって土をならす。


この感覚…久々だ。

中学時代投手をやっていたと言っても3年間で投げた回数なんてたかが知れてる。


なんせ本業は捕手だからな。



「プレイ」


主審のその言葉でセットポジション(投げる格好)にはいる。


ドキドキと鼓動が鳴っていい緊張感を感じていた。

そして少し黒目を動かすとひろの姿が目に入って。


余計に緊張した。


だけどそれが、妙に心地よかった。