「千尋が!?ウソだろ!

俺、絶対そんなん信じねーぞ!」


「別にいいよ、信じてくれなくても。

ただ、俺はちゃんと誘ったんだから。


来るよ、ひろは。」


学校伝統の紅白戦だけあって、

授業終わりの生徒が大勢、野球部のグラウンドに押し掛けていた。


そこにひろの姿はまだ、ない。

だけど俺は信じてる。


ひろが来てくれること。



「やけに自信満々だな。」


「当たり前だろ。

ひろがちゃんと行く、って言ったんだから」


「千尋が?本当か?」

ったく健はどこまでも疑り深いんだな。



「だから、信じてくれなく結構だっつーの!

どーせ、ひろは俺の応援に来るんだから、まずお前に関係ないしな」


「はあ?!分かんねぇーだろ!

俺の応援かもしれねぇぞ!!」


「んなワケないから大丈夫だぞ、健」


「何が大丈夫なんだ?!ああん?!言ってみろや!ゴラァ!!」


まあまあ、そんな熱くなるなよ。

ただでさえ、気温が高いんだからさ。


「ま、ひろが来れば分かることだろ。

よし、ウォームアップから始めるぞー!」


まだイライラしている健を置いて俺たち１年はランニングを始めた。