白は花嫁の色


カシャン、カシャン、と一定の間隔で車輪がかさついた淋しい音を立てる。


――家が近くなる。
やっと、だ。仕事をしない分早く姉ちゃんに会える。

堀を家まで送ってなんかやらない。勝手についてきたんだから義務はない。


やっと気分が上がったところで、「彼女欲しくないの?」と不愉快な質問をされた。


仏頂面になるところを、――俺は口角を上げ、目尻を垂らし、

びっくりするくらい素晴らしい笑顔を故意に作った。



「――好きな奴が居るから」


堀は多分、……俺のことが好き。

俺の顔が好き。

顔だけが好き。



あっという間に、堀の顔は真っ青になる。

どうやら彼女は赤鬼ではなく青鬼だったらしい。青鬼は角が一本だったっけ…。


――堀は大嫌い。姉ちゃんを馬鹿にしたから大嫌い。


だから俺は堀にあえて意地悪なことを言った。性格が悪いなと思いながら…