白は花嫁の色


たらたら歩く堀に合わせるせいで、車輪の回るリズムが遅い。

――いちいちイラつく女だ。
今日は久保がWデートで居ないから、仕事をさせてもらえない。

だから、まあ早く家に帰れるんだから、堀とではなく一人で早く帰りたいのに。

鬼の逆鱗に触れるのが怖くて…


民家ばかりの生活道路をたらたら歩く。夕飯の香りがどこからか辿ってくる。


「ね、市井のタイプは?」
「頑張り屋」
「なにそれ、抽象的!!」

「……?」


頑張り屋って具体的だろう、姉ちゃんみたいに健気で努力する子。

…なんだよ抽象的って。やっぱり嫌な女だ。頭も良くないらしい。


説明することさえ億劫なので首を傾け、はてな?といった顔を向けた。

意味のない会話は面倒臭い。煩わしいったらない。


すると堀は唇を曲げ、
「顔とか!芸能人で言うとあるじゃん」と、猫撫で声で言う。


鼻にかけたわざと舌足らずな話し方は、最近女子の間で流行っているらしいが、

男からしたら“アウト”だ。わざとらしくて無理。心底波長が合わないタイプなようだ。


…気持ち悪い声。鳥肌ですけど……と、胸中でぼやくしかないのだけれど。