――言って後悔した。聞くつもりなんかなかったのに。
色んな意味でドキドキして、手に汗をかかないよう必死に心臓を宥めた。
「まあねー私モテないからさ?なんせシャー芯だよ」
姉ちゃんは自分を卑下した単語を述べるのに、笑顔を浮かべる。
「なんで、姉ちゃん美人じゃん、…有名じゃん」
シャー芯、それは女子の嫉妬からきたあだ名――ううん違う、華奢なスタイルへの羨望からきたあだ名。
しかし本人はダイレクトな悪口だと思っているらしく、
納得出来ないとばかりに、「それひいき目だよ」と不快そうに唇を突き出した。
―――だから好きだ。
姉ちゃんは自分の魅力が分かってない。鈍い。だから好きなんだ。
ドキドキして息が詰まり苦しいが、心地良い苦しみだ。
――俺をこんなに魅了するのは姉ちゃんだけ。
クラスで可愛いと言われる堀よりも、若者に人気なグラビアアイドルよりも、
俺にとってのお姫様は永久に姉ちゃんだけなんだ。



