「動き過ぎたからかな、なんか腹いいや。……ごちそさま」
箸を置く。何も手を付けなかった。
人の食欲は感情に左右されやすいらしい。なんだか恋する乙女みたいだ。
やっぱり姉ちゃんの「雅?」という声は聞こえないふりをしていた。
自室の机に向かう。職員室でコピーしてもらった受験問題を始めなければ。
一問解く度に夢に近付けるのだから――
しかし、プリントを広げるやいなや、一滴涙が落ちた。
泣くのは風呂場だけだと決めていたのに。
……なんなんだよ、俺はガキか?もう中三だろう、何を泣く。
…シュートを決めるごとに姉ちゃんの姿を探していた。
「雅すごい」って笑う姉ちゃんを見たかった。
でも居なかった。
実の面倒を見ていた。
…いや、もしかしたら姉ちゃんも応援に来るのがダリかったのかもしれない。
そうだよ、ルールを知らないしつまらないから、……そうだ。だから仕方ないんだ。
――俺が勝手に約束しただけだし。
試合なんか別にまだあるし。たかが試合じゃないか。
だったら、なんで俺泣いてんだよ?



