あんな風に褒められたって嬉しくない。むしろむなしくなるだけだ。
――悪循環でしかない。
姉ちゃんを独り占めしたいのに出来ない。
なんで俺ばっか…
楽しみにしてたのに。
約束したのに。
タイルのはげた壁に水蒸気がへばり付いている。緩んだ蛇口から不規則に水滴が垂れる。
……馬鹿みたいだ。
気合いを入れて立たせた髪を、思いっ切りシャワーで洗い流した。
水圧に負ける、その程度の度胸なんだろう。
――なんて小さい男なんだ。
弱々しい溜め息は湯舟に溶ける。透明に縁取られ、自らが溜め息に包まれる。
――涙が止まらなかった。
泣いたって意味がないのに。
だけど大丈夫。風呂場で泣いたって証拠は残らないから――…



