「ねっ、雅試合は?結果」
実を庇うためだろう。にっこりと笑って、姉ちゃんは俺の機嫌をとろうとする。
「普通に勝った……300対26」
「凄い!!圧勝だね!!」
300という数字に椿が不思議そうに俺を見上げたけれど、
シカトして、「330点、自己ベスト」と言った。―――くだらなくて馬鹿みたいだ。
数字を聞いた姉ちゃんは目をキラキラさせて「すごーい」と笑う。
今度は330点だと露骨に嘘をついた俺を椿は首を傾げ、
不可解そうにしばし見つめたが、直ぐさま落書きに夢中になっていた。
――嘘なのに。
小学生の椿にだって分かるデタラメを言ったのに。
姉ちゃんは疑いもしない。
……。
なあ、今までの話聞いてた?
中一ん頃から部活の話する時に、俺のベストとか平均得点とか散々話してきたよな?!
俺、何回も自己ベストのこと自慢したのに…姉ちゃんだってそのたびに褒めてたくせに。
この前バスケのルール知らないって言ったよな?
俺教えてきたじゃん!部活始めてから散々話してきたじゃんか…
なんでだよ…
なんで、覚えてくれてないんだよ…
なんで、なにも聞いてくれてないんだよ…
俺のことなんか――
…どうでもいい話だった?
必死に話してきたすべては…どうでもよかったの?



