「でも父さん居るじゃん」
姉ちゃん姉ちゃんと泣いたからって、父さんは保護者なんだから、
別に実のおもり位父さんにだって出来るじゃないか。
父さんに向ける目線に少しだけ不満を込めるつもりが、
思いの外不満は爆発していたらしく、思いっきりキツく睨んでいた。
だからだろう、父さんは居心地が悪そうに、「いやあ、実は忍っ子だから父さんじゃ手に負えないだろ?」と、弱く言う。
「……ふうん」
反論が飛び出ないよう、ぎゅっと唇を結びなおした。
…なんだよ。
なんだよ、みんな揃ってなんだよ。
どうして、なんで?
俺は…
本当は俺だって姉ちゃんじゃなきゃ嫌だ。姉ちゃんじゃなきゃイヤなんだ。
今日1日くらい譲ってくれたっていいじゃないか。
――俺が泣いて駄々こねたら試合見に来てくれた?
違うよな、実を優先するよな?!
いつだって、何があったって、姉ちゃんは俺より下の兄弟を選ぶだろう…。
――分かっている。分かっているのに。
目の前がぼやけるのは何故。ふやけた視界は彩度が曖昧になった。



