白は花嫁の色


光りみたいに白いワンピースを着ていた。
長い髪の上半分まとめられて、つるつるとした残りが胸にかかっている。


目が眩むような姉ちゃん。
姉ちゃんは姉ちゃんが持ってる唯一のよそ行きのワンピースを着てる。

いつもと違って丁寧にまとめられた綺麗な髪型をしている。


その姿を見れば、“来よう”としていたことは分かった。


でも居なかったじゃないか。

約束したのに居なかったじゃないか。

俺が何点とったか見てなかったじゃないか。

――約束を破ったじゃないか。



怒りを堪え震える拳を握り、俺は姉ちゃんを見据えた。

――取り乱したらいけない。分かっている。

紳士たるもの、いつだって動じてはならない。

懐でかく女を受け入れてやるのが、真の男ってやつだ。そうだろう?

でも本当は…


「ごめんね雅、家出る時に実が足怪我して」

「――怪我?!」

不意に出た言葉は、咎めるように大袈裟に語尾が上がった。ケンケンしたゆとりのない音色。