白は花嫁の色

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今日はいよいよ試合だ。

「俺朝早いけど俺らの試合は十二時からだから!十二時前には来てよ?

川のコンビニんとこの中学の体育館だから、西側の角に来てよ?西側のコートだから。

俺角に場所取っとくから、黄色いタオル置いてあるから」


自転車に跨がったまま姉ちゃんに言い聞かせる。

おっとりしている姉ちゃんは、たまに忘れっぽいところがあるから。


「分かってるよ、もう聞くの六回目!十二時に西側の角でしょ?」

はにかむ姉ちゃんに俺は縦に四回頷いた。


姉ちゃんが居るなら絶対絶対ベスト出してみせる!!

単純だけど姉ちゃんが俺の元気の素。生きる力なんだ。


「頑張ってね!!待っててね!!期待してる」と、軽くガッツポーズをする姉ちゃんに、

大きな声で「頑張るから!晩飯期待してるからな?」と言って、ペダルに力を込めた。


絶対勝つ!

きっと姉ちゃんがバイバイと見送ってくれているから、後ろを振り返りたいけど前を見る。

ひたすら前を見ればいい。


頑張る。頑張っていいところを見せたい。

チームん中で一番目立って、姉ちゃんを笑顔にしたい!!

――それが中学生の俺にとっての最大の武器だから。