貧乏な俺も金持ちみたいなパーティーに参加したことがある。
一回だけだけど。
すっごく広い会場はまるでシンデレラの舞踏会みたいで、
きらきらしたシャンデリアとか豪華な料理とか、オーケストラみたいな生演奏だってあった。
姉ちゃんは白いよそ行きのワンピースを着ていて、舞踏会に行くお姫様みたいに綺麗だった。
――そう、お姫様だと子供ながらに思った。
周りのどんな着飾った人なんかよりも可愛くて、ぴかぴかしていてすっごくドキドキした。
――今なら分かる。俺はこの日に恋をしたんだと。
珍しいケーキを皿にたくさん乗せ、俺に食べさせようと手渡してくれた時――
なんだか綺麗な姉ちゃんが照れくさくて、俺は咄嗟に手を引っ込めた。
そうしたら皿の中のケーキが一瞬で散らばって……
後は分かるだろう。
金持ちに冷ややかに笑われた。
笑顔が似合う姉ちゃんは泣いて駆け出し、俺は黙ってそれを見ていて。
それで――



