白は花嫁の色


自分で傷つけておきながら、成す術がないなんて。

あれだ、友達の大切なモンを借りて壊して謝れないでいる感じ、それに似てる。

十割悪いのは自分なのに。確実に悪いのは自分なのに。


謝罪のかわりに俺は姉ちゃんの手をとった。――冷たくて、さびしい手。

無意識に振り払われるのが怖かった。嫌われるようなことをしたのは自分だから。

けれど、姉ちゃんは俺の気持ちを見透かしたように、逆にぎゅっと握り返してくれた。


それだけでジワジワと心臓が熱くなる。――ますます姉ちゃんを好きになる。

月明かりに白い顔が苦しそうに歪み、こちらを見た。


そして――

「怒ってないの!?お姉ちゃんが悪かったのにっ…」

――そして自分が悪いのだと、許してくれる俺が寛大だとばかりに声を荒げる。

だから許す許さないじゃなくて、悪いのは俺なんだからさ…

――胸が痛かった。
この人が闇に溶けない理由は、こんな風に綺麗な心の持ち主だからなのだろう。

白い心は無敵に闇を照らすんだ。

――俺の心に住み着いた黒い醜い塊を照らしてくれる人。


大事で大切な人。
永遠に大好きな人――