白は花嫁の色


時間が時間なだけに、公園は不気味なくらい静かで、昼間とは色が違う。

一人なら怖じけづき、すぐに帰るけれど、姉ちゃんが隣に居るから全然平気で、

――むしろしっとりとした空間に落ち着くくらいだ。

遠くで救急車の音が細々と鳴いて消えていく。



キィ…と。ブランコに乗ると鎖のさび付いた音がした。漕ぐ訳ではない。

手摺の金属は冷たくて手がピリピリする。姉ちゃんの心が痛んでいるみたいに…。


しばらくお互いブランコに腰掛けていたのだけれど、口火を切ったのは姉ちゃんだった。


「雅…ごめん、ごめんね、ごめん本当……ごめんなさい」

震える声は謝罪の言葉。

ごめんの意味は同じなのに、音が違うだけで、色んな気持ちがずっしりと込められている言葉。


なんで……なんで姉ちゃんが謝るんだろうか?

俺が悪いのに。
俺が傷つけたのに。
…俺を責めればいいのに。

つまり俺が姉ちゃんに謝らせているんだ…

ちっとも悪くない姉ちゃんに謝らせるのは、俺の未熟さの結果。

―――ここまで自分が情けない男だなんて知らなかった。

今日だけで“情けない”と言う言葉を何度言っただろうか。