悔しかった、姉ちゃんが一番我慢してるのに、そんな姉ちゃんを悪く言われることが、すごく嫌だった。
許せない…
だけど違うだろう、一番許せないのは俺自身だ。
恥ずかしいって、見られたくないって、―――あの瞬間、もう死んだみたいだった。
それでも、久保や相坂には、知られたくなかった…なんて。浅はかな。
姉ちゃん、悲しそうな顔をしていた。すごく。……俺が傷つけた。
言葉で俺が…傷つけたんだ。
今日使った二千円はどうだ?姉ちゃんに口紅の一本でも買えたはずだ。
それなのに、自分だけ可哀想ぶってためらいなく使ったりなんかして。
――挙句に姉ちゃんを恥ずかしいって思ったりなんかして。
恥ずかしいのは俺の根性じゃないか。
最低だ。腐ってる。
こんなんじゃ王子様にはなれない。まるっきし正反対だ。
…お姫様を傷つける王子様なんて聞いたことがない。
どうして俺はこうも未熟なんだろうか。情けない自分が嫌になる。



