「ネタだと、思ってた……」
ぽつりと相坂が呟いて。
―――頭ん中がぐらりと渦巻く。
元々バスケ部の仲間だったけれど、こうして休日まで遊ぶくらいに、
相坂と仲良くなったのは中三でクラスが一緒になったからだ。
…だから相坂はあんまり家の事情を知らないから。
素の言葉だったからこそ、心臓に思いっきり刺さった。
くすくす笑う女子と、笑いはしないが唖然としている久保と相坂。
…そりゃあそうだろう、
美人と有名な先輩がだせぇ私服で商店街で物乞いみたいなことしてるんだから。
――無理もない。
悪くない、誰も悪くない。
分かっている。
なのに…でも、だって……だって、
ああ、俺は―――
身体中に鳥肌が立つ。
一気に皮膚がおかしくなった。



