「楽しかった」「パンフレット買えばよかった」「ポップコーン張り付いて咳の地獄」「遊園地のとこ笑えたね」
なんてベタに映画の感想を各自話しつつ、俺たちは歩く。(チャリは学校に置いてある)
夕日で辺りがオレンジに染まり、次第に影が馴染む地面は黒で覆われてく。
商店街は夕方なだけあって普段通りの主婦やご老人に加え、
土曜日ということもあり、チャラチャラした若者の群れがところどころに見られた。
「あ、」
姉ちゃんを見つけ、思わず声にしていた。
偶然だな、運命みたいだ、なんて。
外で見る姉ちゃんにテンションが上がるのは、
普段と違うシュチュエーションなだけでドキドキするのは、…なぜ?
隣ではまだ映画のオチについて話しているようだが、すっかり頭に入ってこない。
人で溢れているのに、俺は姉ちゃんと二人だけの世界に居るみたいに。
――そう、あの映画の二人のようで。