相坂と宮田、久保と遠藤……なんとなくペアになりつつ会話は続く。
必然的に俺の相手は堀になる。


「お姉ちゃん彼氏居るの?」
「居ないよ」
「へー美人なのに?」
「さあ、逆にちょっかい出せないんじゃないかな?」
「えー、そうなんだー」


…少なくとも姉ちゃんにちょっかい出せない奴もさ?

堀になら簡単にちょっかい出すんじゃないかな。それも遊びで。

…なんて失礼だけど、語尾をわざとらしく伸ばす堀に、そんなことを思った。


何をみんなピンクのオーラを出しているんだろうか。

上目遣いとか不慣れなボディタッチとか、中学生の癖に気持ち悪くないのか?

俺は嫌だ。
堀も宮田も遠藤もみーんなごめんだ。……まあ向こうにも拒否権はあるが。


美人なのに細工しない姉ちゃんがいい。よっぽど女らしいよ。

こんなつまんない女子相手でも、久々の外食に浮かれていた。そこはまだ中三だからと言い訳をして。


これも優しい姉ちゃんのおかげ。

三千円が俺には三万円に思えた。やっぱりお金って人を笑顔にするんだね。

だから、なにより俺は早くお金持ちにならなきゃならない。改めて実感した。