白は花嫁の色



駅前のファミレスのボックス席は木のテーブルに緑のソファで、

見渡せば高校生が溢れた店内はがちゃがちゃしている。

教室以外でこうして給食みたいに向き合うのは、なんか変な感じだ。


「えぇー市井って~大家族なんだぁ」

マスカラで変な束になったまつ毛の堀が、母音も子音も強調させ間延びして話す。

常々アホっぽい話し方を止めたらいいのになと思う。もったいない。


「ん、そだよ」
メニューの中で一番安いピラフを食べながら、お冷片手に俺は適当に相槌を打つ。

茜――間接照明は夕日のように、あったかいオレンジ色をしている。


「知ってる、お姉さんめっちゃ美人だよね」「卒業式撮影大会だったもん、有名だよね~」

「市井もお姉ちゃんに似てイケメンだしなあ」「双子みたいだよなー」

褒められる姉ちゃんの話題は嬉しくて、にこにこ頷きスプンをくわえたまま笑った。


――皆が言うように、姉ちゃんは美人でかなり有名だ。

他校にも名前を知られていたし、時には高校生が卒業アルバムを見に来るくらい。


そこらのアイドルよりも全然可愛い姉ちゃんは俺の自慢。


誇らしくて嬉しくて、俺の唇はだらしなくゆるみっぱなしだった。