四角い箱の中に三人の女。
ひらひらした短いスカートとか、ニーハイ何とかっていう長いソックスとか、背中にリボンがある服とか、
ちょっとふわっとした髪とか、女連中なりに着飾った姿で自信満々にこちらを伺う姿があった。
「かわいーな私服」「やっべテンション上がる」と、はしゃぐ二人をよそに、
俺は姉ちゃんのが美人だって知っているので、何も言わないでおいた。
あんなレベルでときめいたりなんかしてやらない。
「んな!市井!行こうや!」と気分上々な相坂に、
「だーから金ないっつーの」と、少し大きな声を出してしまった。
それは怒りが含まれていることが確かで、醜い。
やばいと思った俺に対し、ちっとも気にする様子もなく「行こう行こう」とせがむ。
…なるほど、恋をした男は周りが見えないらしい。
「ほらな!?」
なかなか分かってくれないので、ポッケから財布を取り出し中身を広げて見せた。
諦めてくれると思った。けれど耳に入ったのは全く違う言葉。



