好きな女の幸せを願う。
――それは愛だろうから。
姉ちゃんの王子様は結城だった。最初から決まっていた。
背が高くてかっこよくて、お金持ちで大人で、―――だから王子様な訳ではない。
泣いているお姫様を笑顔にする魔法が使えるから、王子様なんだ。
あの感謝祭が二人の運命。
簡単に言えば運命。
俺は王子様ではなくユートピアンだ。
姉ちゃんが結城と幸せに暮らせるお城や、可愛い子供や、…そんな世界を想像してあげよう。
それくらいしかできないけれど、ユートピアンの俺にかかれば姉ちゃんは結城といつも笑顔だ。
それが俺に出来る精一杯の愛。
――姉ちゃん、俺は忍が大好きだ。
市井雅と言う存在。



