俺は姉ちゃんが好きだから、姉ちゃんが誰と居ると幸せを感じるかなんて知っているから。
それが自分ではなく結城だという事くらい知っているから。
「俺は姉ちゃんが幸せなら幸せだよ、それが兄弟だろ?あはは」
嘘を吐くけど許して欲しい。いつか本当にするから。
「それに琴さんは姉ちゃんと同じ分だけ愛してるよね、痛いじゃん、なかなかお似合いなんじゃない?」
この口は姉ちゃんを笑顔にする音しか鳴らしたらだめだから―――
「結婚式、楽しみだね。俺学ランかー。微妙だな。クリーニング出そうかな。それより良かったね父さん。大事な娘が好きな人と結婚するんだから」
俺は笑った。
姉ちゃんは皆から慕われているのだから、ちゃんと結婚してくれなきゃ困る。
好きな男と幸せになってくれなきゃ悲しい。
姉ちゃんが幸せなら、多分 俺は嬉しい。



