もう、自分でも気持ちの整理がつかない。
「琴さんロリコンですね。歳の差…じゅう?」
わざとおどけてみせた。本当は泣きたいのだが、俺は笑った。
みるみるポーカーフェイスを崩す結城は、姉ちゃんの好きな男…
「だって歳だけじゃなく姉ちゃん顔が幼くて甘いし。だから俺、琴さんはロリコンで変態だと思っておきますね?」
あの時の姉ちゃんは十二そこらだったのに。そんな子供に惚れるなんて。
つまり年齢なんか関係ないくらい、身分も関係ないくらい、
結城は姉ちゃんに骨抜きってことだよな――?
琴さんは真っ赤になっていて少年みたいで、幼い姉ちゃんとお似合いだと思った。
つまり、俺の入る隙はない。
笑ってしまえば良い。
前を向こうと決めた。
決めたところで…俺は姉ちゃんが好きなんだけど。
でも好きな女の恋を邪魔したくないから。
せっかくお姫様が王子様と結婚できるチャンスを、嫉妬で潰したくないから。
――最後くらい、俺だって王子様でありたい。



