白は花嫁の色

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「おつかれさまでしたー」
天井の高いくたびれた体育館には、威勢のいい号令がこだまする。

「勝ちてぇ」「勝てばモテるはず」「そりゃ勝たなきゃな」

休日用のハードな部活も終わり、更衣室でだらだらと着替える。


汗臭くないようにと言う久保の計らいで、“マリン”の脇シューを借りた。

その時も小ネタを挟みながら中学生男子特有のノリで。

というより、久保が遠藤を気にしていることが分かりやすい…。


「なあ市井、まじで来ないのか?お前あの堀さんも来るらしいぞ」

「いや、俺どの堀さんでも惹かれないから……」


得意げな相坂を笑ってあしらいながら、シャツを羽織ってズボンに足を通す。

(夏にかけて裾を折るのが、俺らの地域じゃ流行っている)


「えー堀さんって美人だからもったいない、来いよ」と、まだ続ける相坂は、

メールにしろ電話にしろ、久保から話を聞いていないのだろうか?

俺は遊べないと言ったはずだ。…いい加減しつこいなと思う。



「ほら、いとしの女子が居るぞ!!」

手っ取り早く、乱暴に窓の奥を指差した。