姉ちゃんは誕生日の日に白いワンピースを着ていた。――笑顔で出て行った時点で俺は負けだったのに。
今なら分かる。
あの時の笑顔は、俺が張り切ったパーティーに微笑んだのではなく、
結城との未来に微笑んでいたのだろう――…
……感謝祭の日から…毎日姉ちゃんは遠くを見るように結城を想ってる目をしていて…
その瞳に自分が居ないことなんて知っていたのに。
ああ、姉ちゃんは初恋の人と結婚できるんだ。
……幸せなことなのだろう。
―――本当は姉ちゃんが琴さんを好きだったことを知っていたから。
その琴さんが、姉ちゃんを好きだと言う。
それも感謝祭で二人同時に恋に落ちたなんて……最高にロマンチックではないか。
運命じゃないか。
泣いてるお姫様を笑顔にしたのは王子様、おとぎ話の通りじゃないか。
ならば俺はそんな二人の為になら、自分の気持ちを終わらせようと誓う。
目の前にいる男が 好きな女の好きな人ならば、
俺もこの人を好きにならなければならない。
好きな女の旦那を…好きになる。そう誓う。
だけど…



