好きな男に無理やりなんて あんまりじゃないか。
ずるい。
姉ちゃんに対する純粋な気持ちからの悲しみと―――
汚い嫉妬で涙が出そうだ。
泣いたら負けなのだから涙を止めようとしたら、今度は渇いた笑いが込み上げてきた。
何が面白いのか、何が笑えるのか。
分からない。
……王子様になりたい。
どうして結婚するの?
どうして結城なの?
後もう少し時間があれば……
どうして俺じゃないの?
泣きながら結城を好きだと言った姉ちゃんは…俺の恋心なんて要らないんだ。
大人な結城が好きなんだ。
子供な俺は結城が大嫌い。
「…姉ちゃん美人だよ、可愛い、スタイル良いし。…モテてたよ、本人びっくりするくらい鈍いけど。
琴さんは背が高いし顔もかっこいいし。大人だしお金持ちだしスーツも似合うし、
黒髪が似合うし、本物の王子様だし…モテますよね?遊んできたんじゃないですか?」
噂は噂だと思いたかった。
結城ほどの容姿なら周りの男からひがまれたりしたのだろう。
けれど結城は落胆した表情で、事実だったと知る。
眉間のシワが、本当に遊び人なんだと言う証拠。
……信じたくない。
そんな奴はやっぱり信用できない、姉ちゃんを泣かせない保証なんかないじゃないか。
いつ姉ちゃんに飽きるかなんて分からないじゃないか。
―――そんな男にやすやす好きな女を渡せないじゃないか。
「琴さん、姉ちゃん大事にしてくれる?証拠は?」



