力任せに抱いたと結城は言った。
…本当に無理やりだったんだ。本当に…そうだったんだ。
噂通りの男だったんだ…
立っていられない。
ずるずるとドアを背にしてしゃがみ込んだ。
目にとまるのは、結城の足…これから好きな女と幸せの道へ進んで行く足。
細い手を捩じ伏せるのは簡単だったのだろう。
姉ちゃんはずっと前から結城を好きだったのに、
姉ちゃんの初恋は結城だったのに、
その好きな男に無理やりなんて…
姉ちゃんはどんな気持ちだったんだろう。
空を眺めるようにして見上げると、黒い髪をした男と真っ直ぐに目線が交わった。
彼は王子様。
俺は……何者でもない。
「なんでそんな事するんだよ、…やっぱり俺…許せない…許したくない」
声が震えたのは悔しいからだ。
守れなかった自分が情けないからだ。
やっぱり俺は姉ちゃんに何もしてやれなかった。
「…姉ちゃん俺らの為に彼氏作る暇なかったから…あんたが初めてだったのに」
絶対に目を逸らしたくない、逸らしたら負けだ。
……。
初めてなんだから…だから好きな男に優しく…
幸せにしてやって欲しかった。
そう…結城に。
せめて泣かせないように、姉ちゃんを穏やかに寝かせてやって欲しかった。
王子様の結城に。
なのに…



