ありがとうございますと言う結城は、父さんに従って正座をした。
……結城は姉ちゃんを好きなんだ。
感謝祭から…ずっと好きだったんだ。
だから、ずっと姉ちゃんに恋をしていたんだ。
納得させようと、忍の大事な恋人について情報をまとめる。
父さんは柔らかい笑みを浮べ、指で眉をなぞる。
「忍は…君の周りにいる華やかな女とは違うから物足りないかもしれない。
だけどあいつは良い子だから、…無理をさせてきたから後ろめたさがあって…忍との接し方が分からなかった。
だから君が愛してやってくれ。
甘やかしたことがないんだ。…扱いにくいかもしれない。だけど、どうか可愛がってやってくれ」
父さんは姉ちゃんをちゃんと愛している。
売った、のではない。――委ねたんだ。
手塩にかけて育てた大事な娘を、結城に託したんだ――
そして、それは間違いではなかった。



