白は花嫁の色



俺は、今、金を、せびろうとした。

こうして今から働きに行く姉ちゃんに金を、お金をせびろうとしたなんて。

最低だ。
なにをしてるんだろう、俺。なに、たかってんだよ。



何が笑わせてやりたい、だ……今にも泣き出しそうな顔を、辛そうな顔をさせているのは――俺じゃないか。

俺なんかが金を頼める身分じゃないのに。養われている分際で……

何もしてないのに文句たれて…不満ぶつけて…

当たり前に飯食って、部費だって払ってもらってるのに。


それがお金……なんて…

どの口が言える?馬鹿じゃないのか。愚かにも程がある。


自分の罪を自分で作って。




―――違う!!

嫌な性格は王子様に相応しくない。王子様は金を強要なんかしない。かぶりを振る。


すぐさま俺は得意の笑顔を顔面に貼り付けた。クラスの女子に“カッコイイ”と言われる笑顔を。