「父さん、母さん、俺本気なんだ、本気で忍さんを好きなんです。だから恋愛結婚になります」

結城の言う“本気”が分からないけれど。

姉ちゃんはぐずぐず泣いて結城にしがみついている。

――幸せの涙なのだろう、…泣けば良いよ、俺の叶わない幸せの分を泣いてくれたらいい。


「気まぐれかと思ったが本気なんだな?それならしっかり妻を愛するんだな、良い変化だ」

「良かった良かった、忍ちゃんはもううちの家族ね。あの浮気性の琴がねー嬉しいわ」

嬉々として結城の親は返事をする。


「…俺、忍と出会ってから変わったから。いや、最低だったから変えなきゃならないからな」

笑顔の結城は姉ちゃんの頭を撫で、姉ちゃんは結城を愛しそうに見つめ返す。


「琴さん…」
「忍、ありがとう」

名を呼び合う二人から目を逸らした。


あまりに幸せな顔をしていたから―――


……。


初めて見た笑い方だったから…