「ありがとう、お父さん、お母さん構いませんか?」
結城に尋ねられた父さんと母さんは「忍がいいなら」「ぜひもらってやってください」と表面上了承した。
…でも、手が震えているのを俺は見逃さなかった。
「ありがとうございます…娘さんは幸せにします」
頭を下げる結城は、今すごく幸せなんだろう。
好きな女との永遠を手に入れるんだから。
俺が一度も知ることのなかった幸せを。
俺がこの先も知ることのできない幸せ、を。
結城が手に入れたんだ。
それを俺も手を叩いて喜ばなければいけない。
嫌で嫌で嫉妬で狂いそうでも、泣いてしまいたくても、俺が姉ちゃんを好きなら喜ばなければいけない。
なんて皮肉なんだろうか。
最高に間抜けで最高にかっこいい真の愛だ。
子供にしては上出来ではないか―――



