俺の気持ちを故意に無視するように、「何か俺に言いたいことがあるならどうぞ」
と、結城は言う。
どうしてだ?
意味不明な男を馬鹿みたいに呆然と見つめた。
あんなに侮辱されたら腹が立つもんじゃないのか?
なんで冷静なんだ?分からない。
「あのさ、なんでお姉ちゃんなの?…お姉ちゃん騙されてんじゃないの?」
椿が言う。
「お姉ちゃんは利用されてんだよ」「お姉ちゃんを誘拐したんだ」
茜と実が言う。
ほら…恋愛なんかまだ分からない兄弟だって、結城を信用してないのに。
姉ちゃんはバカだ。ばかだ。愚かに純粋過ぎる。
姉ちゃんは結城なんかとじゃ幸せになれないんだ。
俺が幸せにできるんだから。
ふと結城から姉ちゃんに視線を移すと、真ん丸の目は頼りなくつり上がりっている。
――俺は姉ちゃんに睨まれていた。



