白は花嫁の色



いつもの見送り、二人の道。

姉ちゃんと呼べばすぐに小首をかしげて、こちらを見てくれる贅沢な時間。

月夜の姉ちゃんは凄くきれい、…輪郭が白く光って天使みたいだ。


さらさらな綺麗な少し色素の薄い髪の毛、化粧をしていないのに白くて綺麗な肌に大きな目、

赤い薔薇のような唇、すらっとした長い手足、華奢な身体に美しい曲線、

……そして仄かな甘い香り。


姉ちゃんは俺が知ってる人間の中で一番美人。
――最大の美人。


工場に送り届けるこの道のりだけが、幼い兄弟に邪魔されない二人だけの空間。

家だとぎゃあぎゃあ騒がしくて、うるさくて、まともに二人だけで会話も出来ないから。

明日だって。
せっかくの姉ちゃんの休日も兄弟に潰される。

だから俺が姉ちゃんを独り占めできる時間は、――やっぱり月明かりの下しかない。


――明日、か。

明日。


「姉ちゃん」