胸元にキラキラ光る小振りのネックレスと、薬指にはやっぱり婚約指輪が存在を主張している。


俺がプレゼントなんかしなくても、姉ちゃんは持ってる。

俺がプレゼントできなかったモノを、渡したかったモノを、――姉ちゃんは結城から贈られている。

なんて皮肉なんだろうか。


結城はずるい。

俺から姉ちゃんを奪った上に、こんな風に何も言わないのに姉ちゃんが自分のモンだと宣言している。

ずるいよ…ずるい、卑怯だ。簡単に俺から生気を奪えるのだから。


正座した手に拳を作った。時計のない部屋は音を作らない。


結城は端正な容姿だ。
男から見ても魅力的だと分かる、分かるからこそ――正夢になるんじゃないか、と思う。


姉ちゃんはそんな結城に寄り添うように、真っ青な顔で正座をしている。


――王子様は きちっと顔を上げ口を開いた。


期待か、破滅か、俺はどちらを望むのだろうか―――