お姫様が失踪して、約一ヶ月が経っただろうか。
六月の天気は急に寒かったり夏が来たのかと暑かったりだ。
俺の心臓は今、故障しているらしい。
脈のリズムが定まらないし、髪の毛から足の爪までバクバクと不規則に脈打つなんておかしいだろう。
――今日。
王子様から呼び出され、家族で結城の家に集まっていた。
つまり、姉ちゃんが囚われたお城に。
――想像以上だった。
バカ高いマンションは結城の会社のようで、見るからに高級で。
エレベーターの内装も…なんかホテルみたいだった。
発想力がないせいで上手く表現できないが、社長とか芸能人とかが住んで居そうなマンション。
姉ちゃんを連れ去りたかったのは、こんなにも高い塔だったなんて…
出オチじゃないか。
そう思わずにはいられない。ラスボスのこんな建物を見せられたら、天と地の差じゃないか、と。
――でも俺は諦めたくない。
誓ったから。