姉ちゃんは覚えてる?
俺達がまだ小さい頃に――花畑とは呼べないな、土手でよく遊んでいただろう?
二人でれんげの冠を作って、それを頭に乗せて姉ちゃんはお姫様だって喜んでた。
幸せそうに笑っていた。
いつだって姉ちゃんは俺のお姫様だった。
魔法なんてなくてもキラキラしたドレスを着てなくても、世界でただ一人のお姫様なんだ。
――俺だけのお姫様。
あの頃を取り戻したいんだ。
受験頑を張って、頭の良い大学に行って、会社員になって……
その設計は変わったけれど、最終目標のお金持ちになることは同じだ。
明るい未来だろう?
安心してくれ、俺は一生姉ちゃんを愛していくから。
ずっとずっと愛してやるから。
今はまだ未熟だから、結城に敵わないから。
待っていて。
れんげの冠をあげるから、あなたをお姫様にするから、だから待っていて―――