『雅は進学?』
「うん、M校かな、デザインかなーとか」
久保と電話をした、必要のなかった携帯で。
掛け布団の上に寝転がると空気の漏れる音がする。
『俺はO校かなやっぱ、男子校は嫌だけどな?やっぱバスケ強いしさ。けど強豪ん中じゃ俺は補欠にさえなれないかもなー…』
久保の頼りない口調。
O校は県下では一、二を争うバスケに力を入れている私立学校。
確かに中学から挙って実力者が臨むべき学校なので、
中学では成績がよくとも井の中の蛙になりうる。
不安なんだろう。
「久保はさ突発的に特点は目立ってとる訳じゃないけど、相手からボール奪うのは久保が一番技があるじゃん。
それにぶっちゃけ俺なんかより持久力あるしさ?ずっと走ってられんじゃね?」
『あはは…サンキュ、雅様に言われると…なんか、自意識過剰になれるよ、はは』
活発な笑いにつられて俺も無駄に笑った。
笑い方は伝染するらしい。ペットが飼い主に似るように、夫婦も顔つきが似るのだとTVで聞いた。
ずっとそばに居たから、俺は姉ちゃんにそっくりな顔だと言われるのかな…



