ぼんやりとした頭では はっきりと理解できなかったが、大まかには分かった。
なるほどと頷くと父さんは続けた。
「父さんはな、忍が逃げれば雅がなんとかしてくれるって思ってるよ」
「…え、」
今度は父さんが空から俺の目を見つめる。
口角を上げ、父親らしい懐のでかい笑顔を作って…
それは…俺が“市井”になった時に見たお父さんの顔―――
「忍を、雅は幸せにしたいんだろう??
雅、お前はうちの家族だ。だけど忍と結婚してくれたら…ずっとずっと永遠に家族だから。
お前が家を出る事は無いんだ。お前、……忍が居ない今どうだ?家から将来独立しようとしてないか?負担になっていると」
「…」
お見通しといった顔をされると、父親は何でも分かるんだと切なくなった。
声が出ない。変わりに嗚咽が沸いた。
父さんは俺の気持ちなんか全部全部分かってくれていたんだ。
……負担になっているから縁を切ろうとしていた俺を。
高校に行かずに家を出て…働いて金だけ仕送りしようとしていた未来を。
姉ちゃんが居ない俺の未来を…



