白は花嫁の色


しばらくの沈黙が夜を泳いだ。暗闇に溶ける輪郭…そのまま存在がなくなれば良いのに。

父さんの言葉が響き渡る――


「……なあ雅。忍は仮にも婚約者だ。婚約はな、忍は…破棄できるんだよ。忍は忍の意思で拒否できるんだ。

だから…今日はチビたちに一肌脱いでもらったんだ。忍を傷つけるような事を、“忍に嫌われるように話せ”って…」


空から目を父さんに向ける。横顔からは表情が読めない。

確かに今日の兄弟は目に余るほどの言葉を言っていた。おかしいと思っていたから「どうして?」と尋ねた。


「忍は家族を思うから婚約していて、工場を考えるから婚約を投げ出せないだろう。結婚する。

だから忍に家族が嫌われたら…忍にしがらみがなくなれば忍は婚約を投げ出せるようになるだろ?

…その状態で、やっとだよ。やっと忍が忍の気持ちを選べるようになる。お金持ちと結婚するか、うちまで逃げるか」