白は花嫁の色


けれど父さんは上を向いたまま、「父さんは悪い奴だ」と零した。

人が空を見る時は弱っている場合が多い。悩み事のある地上から離れたいからだ。

…空に逃げても何も解決しない。


「仕方ないよ…ごめん。俺、誕生日の日ひどいことした。父さんを責める資格ないのに…ガキだ。子供過ぎた…父さんも…辛いのに…ごめん…」

「いや、父さんは家族の為に忍を売ったのは事実なんだからな」


――売った。

どんな気持ちで売って
どんな気持ちで売られたのか。

買う人間はそんなことお構いなしなのだろう。

――俺も空を見た。

涙なんかなくなればいい。
この先俺は笑えなくていいから、なんだってするから姉ちゃんの未来が欲しい。

姉ちゃんは結城の“モノ”だけど、俺の隣は姉ちゃんの“モノ”にしたい。


――もう泣きたくないんだ。


結城の家来にされたっていいから…だから姉ちゃんの未来が欲しい。

姉ちゃんが居ないから、明日を愛せない。