「…馬鹿だ」
台所の三角コーナーに入り切らなかった夕飯が零れるように無残にも捨ててあった。
昔の姉ちゃんなら絶対にしなかった行為だ。
馬鹿だ。姉ちゃんはどんな想いで捨てたんだろう…。姉ちゃんを傷つけたまんま帰らせてしまった。
――帰った?
“行った”じゃなく“帰った”になるなのか…?
とことん笑えるな。……姉ちゃんはこの家には馴染まないんだ。変わったんだ。
俺のプレゼントなんて似合わない女性に変わってしまったんだ。
魔法使いは…姉ちゃんを本物のお姫様にしてしまったようだ。
階段を駆け上がり部屋の扉を開けた。
――黒い四角い箱。
俺の人生の縮図。
姉ちゃんが馴染まないこんな場所に居たくなくて―――
ベンチに座っていた。
気付いたらいつの間にかここに居るなんて、俺は何かの病気なのだろうか。
…異様に月が明るい。
「……」
失恋、なのかな。
体の奥から膿んだ気持ちが化膿して、全身がおかしいんだ。脳みそが狂ったのだろうか。
「忍」
…と、呟いた。



